塩と青いガラス器

ボーンホルム島の塩はおいしかった。
純白で粒の粗い塩だった。甘みを含んだやさしい塩味だ。小さな青いガラス器に入れられていると塩なのに、もっと何か特別なものに思えるような美しさだった。
そっと人さし指につけてなめてみた。

薫製

島を歩いていると強烈な魚臭が鼻につく。
ニシン漁の盛んなこの地方では、ニシンのオイル漬けとここ、かしこに薫製工場が立ち並ぶ。海沿いの一軒に立ち寄ってみた。
脂ののった魚をそれぞれ独自のチップでスモークする。おそらく、暗く長い冬の島の保存食のために重宝されてきた技法だろう。
草庭に点在するテーブルとベンチに地ビールと出来上がったばかりの薫製を運んで食べる。

薄いライ麦パンの上にバターを塗って、薫製の魚の身をほぐしてからパンの上にのせる。付け合わせの野菜をスライスしてその上にのせ、さらに卵黄のソースをかけてからチャイブを散らす。それを切り分けながら口にするオープンサンド風の食べ方が定番だ。
力強くてくせのある味なのだが、塩加減と魚の脂のジューシーさがたまならくビールとよく合う。
気がつくとわたしも全身スモーク漬けになっていて、燻しだされたような臭いは数日間、消えなかった。